第77章

VIPラウンジで少し待っていると、彼女の搭乗案内が放送された。

ボディーガードが「どうぞ」と手で促すジェスチャーをした。

前田南は頷いて立ち上がり、素早く改札口へと歩き出した。入口の登録カウンターで列に並んだとき、彼女は目を動かし、胸を押さえながら大きく息を荒げ始めた。

そして隣の手すりにつかまりながら床に倒れ込み、全身が痙攣し始めた。

空港のスタッフはすぐにこの異常事態に気づき、急いで駆けつけてきた。

「お嬢さん、大丈夫ですか?急いで!医療部を呼んでください!」

ボディーガードは彼女がこんな手を使うとは予想していなかった。

「先に搭乗します。このフライトは遅らせることはできま...

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